
漁獲量の激減を受けて2007年3月から禁漁となっていた東京湾のシャコ漁が16日、再開される。江戸前ずしのねたとして知られる「小柴のシャコ」の3年ぶりの復活に、地元の漁業者からは「待ちに待った」と喜びの声が上がる。ただ、資源回復は十分ではなく、漁獲量制限付きの操業。漁の喜びをかみしめながらも、本格的な回復を模索する日々が続きそうだ。
◆歓迎ムード
地元、横浜市漁業協同組合柴支所(同市金沢区)では禁漁中、タチウオやスミイカなどを捕って生計を立ててきた。「小柴のシャコのブランドが忘れられてしまう」と不安だっただけに、再開に歓迎ムードだ。「これで街に活気が戻る」との声も。
水揚げされたシャコは、漁業者の自宅の加工場でゆでて殻をむかれ出荷される。加工に必要なはさみの消毒やシャコに適した網への切り替えなど、再開準備を進めてきた。ただ、かつてアルバイトにも人手を頼っていたが、今回は身内だけで作業する漁業者が多いという。16日に出漁する船も、柴漁港の小型底引き網漁船約50隻のうち20隻前後にとどまる予定だ。
◆資源管理の議論
操業は、県が定めた資源回復計画に沿って、漁業者の協議会が策定した実施計画に基づき、1隻あたりの漁獲量や休漁期間などが制限される。同漁協は「柴支所は当面、隔週で週に2回操業、資源に回復が見られれば毎週2回に増やしていきたい」としている。
再開に至る議論では、漁業者と県の間には温度差があった。漁業者は、自主的な禁漁も含めシャコを4〜5年捕っておらず、当初の資源回復計画の禁漁期間が今年3月末までだったことなどから、一日も早い復活を望んだ。一方、県は、試験操業や県水産技術センターの定点調査で資源の回復を確認できなかったため、もろ手を挙げての賛成ではなかった。結局、漁業者の切実な願いが漁再開を後押しした形だった。
◆多くは望めず
最盛期の1989年には約188万枚(8〜11匹で1枚)の出荷があった「小柴のシャコ」。再開後、どれくらい捕れるのだろうか―。県水産課は「特に数字で予測はしていない」としつつ、禁漁前の05年の約11万枚には届かないとみている。同漁協でも、市場には卸すつもりだが、直売所で販売する見通しは立っていないという。
小山紀雄組合長は「自然が相手なのでやってみないと分からないが、次の世代に漁が継続できるように慎重に捕っていきたい。それが柴の漁師の願い」と話している。
posted by ちーず。 at 22:32
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