
冬にシベリアから飛来する渡り鳥「タゲリ」の生息地・水田を守る機運を盛り上げようと、はく製標本が、茅ケ崎市内などで活動する自然保護グループから同市文化資料館(同市中海岸)に寄贈された。タゲリは、県のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種に指定されており、同館は「はく製標本は全国的にも貴重」とし、展示・公開に向けて準備を進めるとしている。
はく製標本を寄贈したのは、自然保護グループ「三翠会」(鈴木國臣代表)。タゲリの生息地・水田を守るため、生産農家から米を市価より高く買い取り、「湘南タゲリ米」として販売する活動などを続けている。
同会などによると、はく製標本になったタゲリは全長約23センチ。茅ケ崎市内の畑で2007年12月、片羽がない状態で死んでいるのが発見されたという。
チドリ科で、県内には冬鳥として内陸部の休耕田や水田に局地的に渡来し、ミミズや昆虫類を食べる。だが、水田の乾田化や宅地開発などにより生息地を奪われ、渡来数は減少傾向にある。
発見した市民から死骸(しがい)を託された同会は県の許可を受けた上ではく製標本に。「存在をより多くの市民らに知ってもらいたい」と寄贈することにしたという。
同会の鈴木代表(68)は「タゲリを通して、水田の多面的な機能や自然とのつながりについて理解してもらえれば」と期待している。