
川崎市教育委員会はこのほど、下原(しもっぱら)遺跡(多摩区長尾)から出土した「下原遺跡縄文時代後・晩期出土品」を、市重要歴史記念物に指定した。市教委によると、「縄文晩期の稲作の痕跡を示す出土品は、関東でも珍しいのでは」という。市指定文化財は109件目。
同遺跡は、縄文〜古墳時代のもの。縄文後〜晩期の竪穴住居跡2軒や墓54基などが見つかっており、当時集落が営まれていたと考えられる。
今回指定されたのは、土器片約1800点や、石器、骨角器など。土偶や石棒など、呪術(じゅじゅつ)的な要素の強い出土品が多い。縄文晩期の土器の土成分からは、イネの葉などに含まれるガラス成分、プラント・オパールが検出。市教委は「縄文晩期の土器から検出されるのは県内では初。土器に練り込まれたとみられ、イネが身近にあったと考えられる」と話している。
また、新潟産のヒスイを用いた玉類や、青森周辺で作られた様式の土器など、多地域との交流を推測させる出土品も。市教委は「土器は青森で作られたものと異なる部分もある。青森から持ってきた可能性もあるが、まねて作ったものかもしれない」とする。
出土品の一部は、市民ミュージアム(中原区)の博物館展示室で展示・公開されている。8月29日まで。観覧無料。問い合わせは同ミュージアム、電話044(754)4500。