
地元発祥の長十郎梨について学ぼうと、川崎市川崎区の市立東大島小学校で17日、市内で郷土おこしに取り組む市民団体「多摩川クラブ」のメンバーを講師に招いた授業が行われた。クラブ代表の俳優中本賢さんが長十郎梨を紹介する手製の紙芝居を披露し、参加した4年生約60人は真剣な表情で見入っていた。
長十郎梨は、1893年に同区大師河原で”誕生”した。病気に強く多くの実を付けることから、一時は広く全国で栽培された。しかし、現在市内にある生産樹木は、多摩区のナシ園1軒のわずか26本だけで、その名を知らない子どもが増えているという。
同校では、2008年から長十郎梨を通じた学習を始めており、多摩川クラブの協力を得て、今年4月には新しい苗木を植樹した。
中本さんは紙芝居を使って川崎の歴史を振り返りながら、長十郎梨が誕生した当時の時代背景や由来を紹介。土地が稲作に適さず、苦肉の策としてナシ栽培が始まったことが伝えられると、子どもたちからは驚きの声が上がった。
武内良介さん(9)は「長十郎梨は水分があって甘みもあるので好き。昔どんな風に品種が開発されたのか、もっと調べてみたい」と話した。
4年生は、苗木の育成や収穫を体験するなど年間を通じて学習するという。