
本社・横浜工場売却で注目を集めているのが、敷地内の正門入り口にある「第1工場ファサード」の行く末だ。1930年に完成。横浜市が99年度、京浜臨海部では初めての歴史的建造物として認定している。
第1工場は当時東洋一と呼ばれた蓄音機の製造工場で、経済産業省の近代化産業遺産にもなっている。工場建築としては珍しく記念碑のようなデザインが特徴。ビクターのシンボルとなっている犬(ニッパー)が蓄音機に耳を傾けるおなじみの図柄も彫り込まれている。
機能本位の建物が並ぶ地域でクラシックな外観は地域の象徴的な存在になっており、存続を求める声が強い。市産業立地調整課は「移転せずに現在の場所にとどまってほしいと思っていたが、残念」。何らかの形で存続できるようビクターに要望しているという。
JVC・ケンウッドは「市の要望もあるので、売却先とはこれから話し合いたい」としている。